オタクは世界を救えない

初めてSkebでテキストの依頼を受けてみた話をする

 今回はタイトルの通り、Skebでのテキスト依頼を初めて受けてみたのでその話をしたいと思う。プロのライターならいざ知らず、素人であるオタクが文章を依頼されるというのはあまりない経験なので、ちょっとした感想戦みたいなものだと思ってほしい。

Skebとは

 つい最近までその存在を知らなかった俺みたいなおじいちゃんオタクもいるだろうから、先に簡単な解説をしておこうと思う。

 Skebというのは神絵師が信者から金を巻き上げるシステムのことで、依頼者が定められた金額と共にリクエストをクリエイターに投げ、クリエイターは報酬を得る代わりにそのリクエストに応えたものを作成する、というもの。

 依頼者としてはお気に入りのクリエイターに軽い気持ちで依頼ができるツールとして、クリエイヤーとしては企業案件とかを受けるプロほどではない同人作家ぐらいの人が、軽い感じでお小遣い稼ぎを出来るツールとして、流行ってる(?)といった印象。

 それで、最近までSkebはイラスト(とボイス)しか対応してなかったのだけど、少し前にテキストも対応できるようになったらしいとのこと。まあテキストといったらメインは小説なんだろうけど、別に内容は問われないらしいので感想記事とかでもやれるかな、と俺も流行りに乗って条件を設定し、ツイッターの固定ツイートにSkebのリンクを張ってみた。

 結果としては、一週間設置してリクエストが一つも来ず、リンクを置いてるのが恥ずかしくなってすぐに消した。そしたら可哀想に思ったのかフレンドがリクエストを送ってきてくれた。

 そんな、銀座のホストで働き始めたはいいものの指名が取れず、泣く泣く故郷のお母さんに頼み込んで指名してもらうみたいな真似をして書いた記事がこれ。わりと要所を掴んだ感想を書けた気がしたので満足してる。

yossioo.com

 ※Skebで納品した絵や文章は作者に帰属するため、ブログに上げるのも自由らしい。

リクエストされたアニメについて

 思ったよりも楽しかった。

 まず俺は、人からおすすめされたアニメにあまり興味がない。でも少額とはいえお金を貰っているということ、この後感想を書くことが確定しているということ、この二点からアニメに対するスタンスが前向きになり、「せっかくだから良い点を探そう」という意識でアニメを見れたのが良かったと思う。
 ぶっちゃけお題の『ViVid Strike!』がクソつまんなくて感想モチベが一ミリも上がらなかったらどうしようとか心配してたけど、やっぱり真面目にアニメを見ると受け取り方もだいぶポジティブになるもので、感想を書くのも結構楽しかった。放っておいたら感想を書くどころか見ることすらしないアニメに触れる機会が訪れるのは一つの楽しみだと思う。

 ただこれも、依頼してくれたフレンドがある程度俺が楽しめそうなものをチョイスしたからというのはある。俺の守備範囲とまったく違うようなアニメだったらそもそもリクエストを受けないだろうし、中身を見てゲロつまんなかったら途中でリタイアしてたかもしれない。(ゲロつまんないアニメならそれはそれで面白いかもしれないが)

そもそも感想記事をコンテンツにすることについて

 小説とかイラストが跋扈するSkeb空間に単なるアニメ感想を並べるのに場違い感を感じずにはいられなかった。そもそも今回のフレンドは遊び半分だからリクエストしてくれたけど、その辺のオタクにわざわざ金を払って感想記事を依頼する人間がいるのかどうか甚だ疑問ではある。

 一応、見てみたら音楽理論についての文章を書いてた人とかいたし、大手ブロガーが自作コンテンツのレビューとかをSkebでなら受け付けるとか言ってたり、可能性としてはなにが商品となってもおかしくないような気はする。ただ需要としては創作には敵わなさそう。イラストはやっぱり完成物が目に見えて強いし、小説も既にやってる人はそこそこいるっぽい。なんか18禁小説がよく目につくけど、アダルトもそういう意味じゃ強いのかもしれない。

 あとはリクエストの仕方もちょっと悩みどころかなと思う。Skebって元々はお題をお金と共に投げつけるだけシステムらしいので、細かい交渉とかはもちろん、クリエイター側で「こうこうこういうリクエストに応えます」的なプロフィールを設定することもできない。だからその辺、変に捻った方向性でやるのには向いてないような気がする。
 まあそういうのを本気でやってる人は、俺が知らないだけでスキマとかなんだとか、似たようなサービスでもっと融通が効くやつを既にやってるものなのかもしれない。

金額について

 まともな値段にしてもどうせリクエストなんか来ないだろうしと思って、依頼の最低金額は500円に設定してあった。商売としてやるなら赤字である。

 ただ、人のおすすめアニメを見るのなんて本来趣味の範囲だし、金が貰えるだけアドみたいなところはある。受けたくない依頼は断ればいいだけだし、俺に関しては放っておいてもアニメはなにかしら見るから、別に金額なんてこの際どうでもよい……というのは嘘で、ぶっちゃけいうと金は欲しい

 金は欲しい。副業としてアニメ評論家をやり、月収50000兆円ぐらいほしい。リクエストを受け付けるだけならツイッターのリプライで受ければいいだけなので、Skebなんてやってるやつは文字書きもイラストレーターも金が欲しいだけだと思ってる。

 そういうわけなので、俺は感想記事の依頼に対する適正金額がどれぐらいか皮算用してみた。

 まずアニメの感想記事を書くためには、アニメを見ないといけない。仮に1クールのアニメだとして、だいたい24分×12話で5時間ぐらいになる。時給にもよるが、キリ良く一時間1000円だとしたらこの時点で5000円分の働きが発生する。
 そして文章本体。今回書いた俺の感想記事は約3500文字。いつもの感想記事もだいたいこれぐらいの長さである。場末のライターは一文字一円ぐらいらしいので、3500円といったところか。
 これをシンプルに合わせると、8500円。めっちゃ高くね?

 ちなみにイラストの相場は、パッと見た感じちゃんとしたものなら5000円~青天井、小説も似たようなものだけど、強気に出れる人間がまだいないのか3000円とか1000円とか安めに設定してる人が多い印象。その中で8500円とか絶対に誰も頼まない。というか、ただの素人におすすめアニメを見せて感想を貰うだけで約一万円もかかるとかだいぶ世の中舐めてると思う。

 しかもなにが辛いって、アニメを見る拘束時間はなにをどうやっても削れないという点。いくらアニメを見るのが上手くても倍速視聴とかしない限りここは同条件なので、クオリティ関係なく経費でめちゃくちゃコスパが悪くなる。ちなみに今回は1クールを二日に分けて見て、翌日に感想を書いた。需要を考えたら、あくまでも趣味の範囲は出ないだろうと思う。

俺のSkebについて

 そういう感じで、企画モノとしては面白いけど、真面目な商売として考えるのはちょっと難しいよねって話でした。それでもせっかくなのでしばらくはツイッターにリンクを張り付けておこうと思います。値段も500円のまま。よっぽど依頼が来るなら上げるだろうけど、どうせ来ないだろうからたぶんずっとこのままだと思う。なんならまた恥ずかしくなって消す可能性の方が高い。

 受けるかどうかはわからないけど、興味がある人は気軽にリクエストしてみてね。頑張って良いところを探して感想を書きたいと思います。

skeb.jp