オタクは世界を救えない

『ゾンビランドサガR』感想、俺たちは持っとるオタクたちSAGA

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 おおむね好評で幕を閉じたゾンビランドサガR。一期の頃から推してたけど相変わらずエモい最終回を見れたのでその話をしようと思う。

持っとらんアイドルのその後について

 過去に一期を見たとき、こういう記事を書いてたのを思い出したんですね。

 一期の終盤では、他のメンバーに比べてさくらの「持ってない」という要素がテーマとして取り上げられていた。才能もなければ伝説もないただのゾンビである主人公のさくら。そんな彼女に「俺が持っとるんじゃい!」と言葉を向けた巽幸太郎が印象的。この頃から、ゾンビランドサガはアイドル単体の話ではなく、アイドルとそのファンたちの物語でもあったんですね。

 その点でいうと、さくらと巽の関係性は11話のシーンでも補完されていた大変良かった。一期と同様短いシーンではあったけど、さくらが「自分をアイドルにしてくれてありがとう」と語るシーンは、感謝と同時に自分がアイドルであることを肯定するシーンでもあるし、期待を持ち続けた巽幸太郎が報われるシーンでもある。

 また他の濃いファンが集結するのも二期最終回の見所の一つだと思う。一期で得たファンであるデスメタルおじさんや暴走族、リリーパパもそうだし、二期で関わった著名人が呼びかけを行って人集めをしてくれたにはエピソード支え合いの精神を感じる。なにより佐賀全体を巻き込んだ一大ライブになっている辺りが、過去に巽の焦りで強行した独りよがりな失敗ライブとの対比になっていて偉い。

 あと地味にバランスを分かってるなと思うのが、そういうファンたちがあまり前に出過ぎないところ。あくまでもストーリーとライブの主役はフランシュシュなので、ファンはライブに通うし応援もするけどエピソードとしての尺は持っていかない。巽とさくらのシーンが短いのもそうだし、ライブに全通してるデスおじがいつも嬉しそうにペンライトを振ってるだけなのも微笑ましい。

ライブシーンについて

 最終回のほぼ半分を占めるライブパート。これぞアイドルモノ、と思うと同時に、ストーリー的には11話の方が大きかったなと思う点でもある。

 でも久しぶりにアイドルのライブで盛り上がりましたね。数年前に流行り始めて最近はちょっと落ち着いてきた様子を見せるアイドルアニメの中、今作のライブシーンはかなり水準が高いと思った。もちろん曲や動きが良いのはそうだけど、それ以外にも特筆したい点があるので挙げてみたい。

 まずはその演出。単にアニメとしての演出ではなく、ライブの演出として上手くやってたなと思う。
 ライブの最初に大モニターでイントロみたいなの流して、メンバーのカットインを見せるじゃないですか。あれ、ラブライブで見たことあるんですよ。めっちゃ盛り上がるんですよね。ライブって観客も盛り上がろうと思って参加するので、ちゃんと「ここで盛り上がってくれよ」って部分があると嬉しいんですよ。イントロでかっこよく演出してくれると、演者がステージに出てきた瞬間に盛り上がろうっていう助走が出来て"一体感"が生まれるんですね。

 アイドルアニメでファンをどれだけ映すかとか、コールをどれだけ入れるかとかって好みも分かれると思うんだけど、基本的に俺はライブでは観客の盛り上がりも重要だと思ってるので、アニメを見てる俺が盛り上がってるときには作中の観客にも盛り上がってもらいたい。

 だから、コールとかがちゃんと入ってるのも良いと思った。曲の切れ間での歓声もそうだし、サキの「一緒に!」でちゃんと歌うのも良いし、かといってフィクション染みた揃いすぎてるコールとかは入れない。
 あとサイリウムの振り方もいいね。ちゃんとある程度ばらつきがあるのもいいし、人によって腕を高く上げてるのもいれば、胸の前辺りで振ってる個人差があるのもいい。パピーが後方彼氏面オタクでサイリウム振ってないのもいい。一曲目で高く上げられた赤いサイリウムで、上げてる本人は映らないのにサイリウムだけでっかく目立ってるのもいい。捧げ?のときの女の子の振り方と握り方がそれっぽいのもいい。

 あとはさくらの表情もいい。踊ってるときの3Dモデルがわりと表情豊かなんですよね。笑ってるときと真剣なとき、泣きそうになってるとき。アンコール曲の最後らへんで目を拭ってる動きが入るのとかもよく作ってるなあと思う。

 てかこれ書く間最終回のライブシーンずっとリピートしてるんだけど、単純にクオリティが一期の頃より上がってないか? 3Dもそうなんだけど、カメラワークとかかなりエグくなってるような気がする。ダンスめっちゃかっこよく映るし、一期のときにくねくねしてるだけとか言われてたダンス自体もかなりキビキビしてきてる。なにより一期のときはトラブルを乗り越えての盛り上がりみたいなのが多かったのに、今回はライブ始まってからのトラブル無しで単純なクオリティをぶつけての盛り上がりだから成長を感じる。

続編?について

 なんか最後らへんでUFOが来て佐賀を破壊していきましたね。よくある流れだと劇場版かな? 宇宙戦争編?

 まあ綺麗に終わった欲しかった感はあるね。今更こういうのをとやかく言う気はあまりないので触れないけど。一応話的には、まだ佐賀の呪い自体を打ち砕いたわけじゃないので続きがあるよって感じなんですかね。

二期全体について

 終盤の展開はかなり好きな感じ。上でも結構語ったのでもう十分でしょう。

 ただ全体を見ると、所々退屈なくだりがあったのは否めない。まあ期待度が高かっただけ感はあるけど、一応つっつくだけはしておこうかなと思う。

 個人的にはまず、二話のサキ回がかなり足を引っ張ってたと思う。一話の勢いもそれほどではなかったことから、序盤は「一期に比べて微妙じゃね?」という評判が多かったように感じる。
 それから純子愛回で持ち直して(俺はさくらの好きに純子が好き)、リリー回が好評、おたえ回は賛否両論で、マイマイ回は異色。ゆうぎり回は俺は退屈だったけど世間では結構好評(佐賀の呪いとかの説明もあったし掘り下げもある回だった)、そして終盤へ、といった感じ。

 こうしてみるとお当番回が多い印象がありますね。俺はお当番回制アンチなので、もうちょっとフランシュシュ全体の話を増やしていいんじゃないかとは思ったりもした。おたえ回とか必要だったか? まあお当番回で活躍した相手役が最終回で味方に回ってたり、地味に話を掘り下げて最後には上手くまとめているので満足としましょう。なんならさくらに至っては一期で覚醒してるから二期ではお当番回なしで最後に涙してるだけで報われてる感が出てるのも強い。

まとめ

 久しぶりに面白いアイドルアニメを見ましたね。